英語の会話と発音の話

2008年8月23日 (土)

英語の会話と発音の話(最終回)-学会発表されちゃった

1か月以上にわたり、英語の会話と発音の話を書いてきましたが、きょうで最終回。正直に言って、4年半もアメリカに住んで、たくさんのアメリカ人やその他の国の人たちと交流したにもかかわらず、英語ペラペラにはなりませんでした。でも、英語で会話する楽しさは十分味わえたし、臆することなく話す度胸がついたことは、貴重な財産です。

いよいよ帰国というとき、数期通った「英語の発音矯正」のクラスの担当プロフェッサー、パリーにお別れのあいさつに行きました。するとパリーは「あなたたちに会えなくなると思うとさびしいわ。とくにあなたはスペシャルな生徒だったから」と夫に言ったのです。パリーのクラスでは、ときどきLL教室に行って、個別に発音の練習を先生に聞いてもらいます。コースの最初と最後のLL教室での発音は録音されていたそうです。そこでパリーは、夫の発音を題材として、日本人の「rとL」の発音がいかに「パリー・メソッド」で改善さるかを研究し、その成果を学会発表したのですって! 夫は留学によってたくさんのことを吸収したと思いますが、ただ得るばかりでなく、自らが研究のマテリアルとなって言語学の発展にもささやかながら貢献しちゃんたんですねsign03 なんて有意義な留学生活happy01

でも、「改善」されたとはいえ、夫はいまだにrとLの発音には苦労しているもようです。でも、そのパリーの学会発表の話は、笑い話のネタになっているらしいですよ!

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2008年8月16日 (土)

英語の会話と発音の話(7)-言葉のキャッチボール

英会話というと、どうしても自分がしゃべることに主眼を置いてしまいます。文法はどうだ、発音はどうだと頭の中で考えて、冷や汗をかきながら話していますから、相手の言うことなんて聞いてません。もちろん、リスニング力が足りないということもあるんですけど(それについては、またいつか書きたいと思います)。

でも会話は相手があってはじめて成り立つものですから、相手の話をよく聞いて、わからなかったら、もう一度言ってくださいというくらいの度胸がないといけないと思います(もう一度言ってもらってもわからないと、本当に困っちゃうんですけど)。つい、わからなくてもにこにこ笑ってうなずいてしまいがちですよね。たとえ多少発音が悪くとも、相手の言っていることに対して、適切な応答ができれば(YesとかNoとか、あるいは単語だけでも)、会話ってちゃんと成り立つものだと経験から学びました。

マイアミ大学の英語の発音矯正のクラスでは、毎回、グループでのトークや、お題をもらって短いスピーチをするなどの課題がありました。前回(6)書いたように、英語ぺらぺらのスパニッシュの人が多かったので、そういうときには、本当にどきどきします。言葉はたどたどしいし、言いたいことは英語では十分に表現できないし。

ある日、「rice」という言葉を入れるスピーチの課題が出されました。わたしは、お米には、日本のお米と、外国のお米(タイ米みたいな細い米)と、もち米の3種類がある。日本のお米は外米よりももっとモチモチした感じだとか、そんな話をしました。例によって英語の文法は怪しいし、rの発音を気にすると舌がもつれるしで、心臓ばくばくです。ところが終わったあと、あるスパニッシュの女性が突然、「あなたたち(わたしと夫)の話はいつも面白い。いろんなことを知ることができて楽しいわ」と発言してくれたのです。すごく驚きましたが、すごくうれしかったです。たとえ流暢な英語でなくても、内容とハートがあれば相手は話をちゃんと聞いてくれるものなんだなと実感したしだいです。結局のところ、英語を話すことが目的なのではなくて、英語は言葉のキャッチボールを助けてくれる道具にすぎないのですから。

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2008年8月 7日 (木)

英語の会話と発音の話(6)-国によって発音の弱点は違う

マイアミ生活も後半にはいってから、マイアミ大学の「英語の発音矯正」のクラスを夫といっしょに受講するようになりました。このクラスの担当プロフェッサーはパリーというとても威勢のいい女性で、すごく楽しいクラスでした。受講生はマイアミ大学に留学している人や、すでに大学の職員として働いている人たちなどでした。顔ぶれはスペイン語を母国語とするスパニッシュ系の人たちが半分以上、あとは中国からの留学生とわたしたち日本人がふたりの十数名くらい。

みなさん、とくにスパニッシュ系の人たちは、ネイティブ顔負けなほどおしゃべりが得意で、たしかにお国なまりはあるけれど、こんなクラスを受講する必要はないんじゃないかと疑いたくなるほどでした。でも、パリーの分析によると国によってそれぞれ独特な発音の問題があるとのこと。日本人は言わずと知れた「rとl」ですよね。英語ネイティブやスパニッシュの人にはそれが不思議でならないらしい。ところが、他の国の人にもとても直しにくい弱点があるんです。

スパニッシュ系の人はチ(ch)の発音が苦手で、シ(sh)とうまく言い分けることができない人が多いんです。それで、先生「ティーチャー」(teacher)と言うつもりでも、Tシャツと同じ「ティーシャー(ツ)」みたいになってしまいます。日本人のわたしたちにはちょっとびっくりですよね。また中国にはアイとかエイという二重母音がないので、中国系の人の場合、レイン(rain)がレンに、マイアミがミアミになってしまうことが多いのだそうです。

で、パリーはそれぞれの弱点を直すためのレッスンをしてくれるのですが、それがねえ、一筋縄ではいかないんです。しみついた発音というのはなかなか直らないし、単語ひとつなら言えても、会話の中にまざるとやっぱり昔の癖がでてしまいます。それは、日本人のわたしたちだけでなく、どの国の人もそうでした。

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2008年7月30日 (水)

英語の会話と発音の話(5)-オーストラリア英語など聞き取りにくい英語

アメリカから帰国してから18年。英会話する機会もないので、英会話力もリスニンング力もすっかりさびついています。アメリカに住んでいた最後のころは、話すときは英語で考えていました。でも、いま、英語を話そうとするとまた頭の中で日本語から英語に訳すようになってしまいます。

とはいえ、自転車の乗り方と同じで、下手にはなってもまったく忘れてしまうわけではありません。しかし、3年前にオーストラリアへ行ったときは、ちょっとあせりました。オーストラリアでもホテルやお店の人の英語は大丈夫だったんですが、ある日、観光船に乗ったら、ガイドさんの話がほとんど理解できなくてびっくり。オーストラリアの英語は母音などの発音がかなり違うとはきいていましたが、これほどとは。もしかして自分の聞き取り力がここまで落ちたのかとがく然としました。でも、昨年アラスカに行ったときには、ガイドさんの説明も100%とはいきませんが問題なく理解できたので、やはり原因はオーストラリア英語にあったようです。

アメリカに住んでいたときは、マイアミですからヒスパニック(スペイン語がネイティブの人たち)の人がすごくたくさんいて、スパニッシュ英語がどこでも頻繁に聞かれました。カレッジの教授からしてそういう方もいました。スパニッシュに限らず、中国系の英語とか、かなりくせのある英語がいっぱい。それぞれ発音に特徴があるんですね。(つづく)

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2008年7月28日 (月)

英語の会話と発音の話(4)-イギリス英語

きのうCSでナショナルジオグラフィックの番組を見ていたら、ナレーションがとてもイギリスっぽい英語でした。イギリスの英語はアメリカの英語みたいな「アイガーラゴウ」式のリエゾンは少ないと感じます。単語がひとつひとつわりとはっきり発音されていて、とてもきちんとした感じで、この響きもとてもきれいです。なので、無理に「ノッゴナ」と言わなくても、こういう英語を真似してもいいんだと思います。

アメリカでは英語の勉強と称してテレビばかり見てました。ニュースならどういう話かだいたいわかるけど、コメディ番組はジョークのツボがつかめず、ほとんど笑えませんでした。でも2年もすると全部じゃないまでも、かなり笑えるようになってきました。ドラマは、テレビドラマの英語は映画の英語よりずっとわかりやすいです。

ところが、です。あるときイギリス製のドラマを見ていたら、何を言っているかさっぱりわからない。自信をなくすほどぜんぜんわかりませんでした(今でもそうです)。イギリス版でもBBCニュースとかドキュメンタリーの英語はわかりやすいのですが、ドラマ系は手ごわいです。それを、アメリカ人の友達に話したら、「あーらうちの夫も、イギリスの番組は何をしゃべっているのかよくわからんって言っているわよ」ですって。半分以上冗談でしょうけど、けっこう安心しました。

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2008年7月22日 (火)

英語の会話と発音の話(3)-日本人英語はチャーミング?

私自身は聞こえた発音をカタカナに置き換えようという斬新な発想はもちませんでしたが、とにかく聞こえたままを真似する努力はしました。

I'm not going to do it.という文は、ちょっと発音に慣れてくれば、「アムノット・ゴーイン・トゥ・ドゥー・イッ」とけっこうそれらしく聞こえる発音ができるようになり、もちろんちゃんと通じます。

でも、カレッジに通っていたころ、若い子たちの発音がそれとは微妙に違うことに気づきました。何が違うのか、しばらくはどうしてもわからなかったのですが、ようやくわかりました。彼らは「ノット・ゴーイン・トゥ」を「ッゴナ」って発音するんですね。わかったらうれしくて、しばらくは「アム・ノッゴナ」をしょっちゅう使っていました。

4年以上アメリカで暮らし、しかも英語をうまくしゃべれるようになりたいと努力もしていたので、3年くらいすると、だいぶアメリカ発音に近づくことができるようになりました。でも、カレッジの陶芸教室の友達の年配の女性に、「ナナコの発音はアメリカのキッズみたいになってしまったわ。昔の発音はとてもチャーミングだったのに」と言われてはたと気づきました。

アメリカ人にとって、日本語なまりっていうのも、けっこうチャーミングに聞こえたりするんだなって。日本でも外人のタレントさんが、母国語なまりの日本語を話していると面白く感じるけど、数年して日本語が上手になりすぎるとちょっと味気ない気がしたりしませんか? そう気づいたら、自分の日本人的発音に劣等感をもつ必要もないのかも、と思えるようになりました。

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2008年7月18日 (金)

英語の会話と発音の話(2)-ローマ字読みは使えない

クイズ:以下の単語のリストにはじつは意味があります。ただし、ひとつだけ、必要な単語が抜けています。どこが抜けているでしょうか?

itch、knee、sun、she、go、rock、hatch、cue、Jew

答え:rock、hatchの間にあるべき語が抜けています。

理由、わかりましたか? まず、声に出して、上の9個の単語を読んでみてください。イッチ、ニー、サン、シー、ゴー、ロク、ハチ、キュー、ジュー。ね、日本語の数字なんです。7だけは、どの単語をあてるのか忘れちゃいました。じつはこれ、マイアミで知り合ったある女性が、アメリカ人に、日本語で数を数えるやり方を教えているのを見て覚えたのです。「おはよう」は、ローマ字でohayoと書いても、アメリカ人には「オハヨー」とは読めないらしく、むしろOhio州の発音と同じと言ったほうがわかるみたいです。

自分でも経験があります。アメリカ人に日本語を教えると、アメリカの人は英語でフリガナをすることがあります。でも、そのつづりはローマ字とは違うんです。アメリカ式フリガナ日本語ですわ~。それで、どうやらローマ字読みと本来の英語の発音というのは一致しないんだなと実感するようになりました。やはり従来のカタカナ英語では通じにくいはずです。

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2008年7月15日 (火)

英語の会話と発音の話(1)-アイガーラゴウ

これから何回かにわけて、英語の会話と発音について書こうと思います。でも「こうすれば会話がうまくなる」みたいな話じゃないですよ。わたしの英会話力は、日常会話には困らないけど、文法はあやしいし、発音だっておしてしるべし、といった程度です。ただ、アメリカに住んでいたころ、実際に毎日英語に接してみて、いろいろ考えたことや知ったことがあったので、それを書いてみたいと思います。

最近読んだ、池谷裕二さんの「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則(ブルーバックス)」という本はとてもアイデアが斬新で、面白かったです。詳しい内容については池谷裕二さんご本人のHPのなかの「カタカナ英語でいいんじゃない?」で読んでください。とにかく、いままでの「アイブ・ゴット・トゥー・ゴー」式の書き方はやめて、「アイガーラゴウ」みたいに、聞こえたままの英語をカタカナにしてみようと池谷さんはお考えになったんですね。ご存知の方も多いと思いますが、池谷さんは本やエッセーもたくさんお書きになっている脳神経生理学者。なので、語学学習に関する脳神経学的な話も随所に書かれていてすごく興味深かったです。

それに何といっても、こんなに頭のいい人でも英会話には苦労するんだと知ると、そうか自分だけじゃないんだと思えて気が楽になります。わたしの友人の中にも、この本を信奉している人がいて、「理想を求めることは潔くあきらめよう。どうせ、私たちには英語を発音するための脳回路がないのだから」というくだりを読んでほっとしたそうです。日本人発音だろうとなんだろうと、要するに通じればいいんですよね。

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