サイエンス

2009年12月22日 (火)

別冊日経サイエンス「生命の起源-その核心に迫る」

この別冊は、そもそも生命ってどうやって誕生したかという謎を解き明かそうというもの。わたしが学生のころは、いろんな物質が混ざった水に雷があたるとアミノ酸ができて・・・みたいなことを習ってました。でも、いまは、タンパク質よりまずRNAが先という考え方が主流になっているようです。昔はRNAってDNAからタンパク質が作られる過程で働く召使みたいなものとわたしは思ってましたが、じつはものすごく重要な働きをいっぱいしているんですね。

今回の別冊には翻訳協力させていただいた記事がふたつ掲載されています。「分子から生命体へ」と「RNAが支える陰のプログラム」です。

「分子から生命体へ」はRNAがそもそも生じて自己複製するようになったのはどのようなメカニズムによるものかを論じています。もちろん、この記事の内容が絶対に正しい答えというわけではないでしょうが、大変興味深い仮説です。

RNA分子はアミノ酸よりも複雑で、自然現象の中でたまたま生じたとは考えにくいのだそうです。それについてのたとえが面白いです。

「あるゴルファーが18ホールをプレイし終えた。そのとき彼は、自分がプレイしなくても、ボールは勝手にコースを回ることができたに違いないと考える。突風などによってボールが転がり、コースを回る可能性はゼロではないからだ。地震や嵐、竜巻、洪水などの自然の力が組み合わさり、さらに十分な時間があれば、おなじ結果が引き起こされるかもしれない、というわけだ。これと同じで、物理法則を破らずに、RNAが自然発生的に生じてくる可能性はゼロではない。だがそれが起こらない可能性のほうがはるかに高い(記事より引用)」

では、どうしてRNAは生じたのでしょうか。くわしくは別冊日経サイエンス「生命の起源-その核心に迫る」でどうぞ!

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2009年7月28日 (火)

親と子の科学の冒険2009

日経サイエンス9月号には、今年も「親と子の科学の冒険」という小冊子の付録がついています。これは夏休みの自由研究にたいへん参考になりそうです。

皆既日食は先週終わってしまいましたが、天文写真家の林完次氏の記事によると、8月12、13日にはペルセウス座流星群が見えるとか。そのほかにも夏休み中に観察できる変わった天文現象がいくつか紹介されています。

東京都多摩動物公園の成島悦雄氏の記事では、動物園ではただ動物を見るのではなく、動物の争い方や耳に注目してみようと、アニマル・ウォッチングのポイントが紹介されています。じつはわたし、子どもたちが小さい頃、多摩動物園の親子イベントに参加して、ライオンの赤ちゃんに触らせてもらったことがあるんですよ! ぬいぐるみみたいでほんとにかわいかった。最近は動物園も解説がとてもわかりやすく充実していて、楽しいばかりでなく勉強になりますね。

生物写真家の奥山英治氏は、田んぼの生き物、磯の生き物の観察のポイント、それからヤドカリの飼い方の紹介などについての記事をお書きになっています。子どもはもちろん、大人が読んでもおもしろいし、やってみたくなりますね!

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2009年7月27日 (月)

イエネコの起源は?--日経サイエンス9月号

日経サイエンス9月号に、翻訳協力させていただいた「一万年前に来た猫」という記事が掲載されています。

ネコってかわいいですよね。丸くなって寝ている姿を見るだけで心が和みます。わたしは子どものころ猫が大好きで、当時は近所にたくさんいた野良猫をかわいがっていました。セーターに猫の毛をいっぱいつけて帰ってくるので、母によく「また猫と遊んできたのね」と言われたものです。いつか飼ってみたいけど、まだ実現してません。

ところで、猫は世界中でとても愛されているペット動物です。でも、何をしてくれるわけでもなく、ただかわいく同居しているだけという感じですね。人間と猫のどちらがご主人かわからないくらいインディペンデントな感じもする。犬や牛や馬は家畜化されるにあたって、いかにも人間にとって有用な性質をもち、かつ、さらに有用になるよう育種されてきましたが、猫はどうやら何千年も前から勝手気ままに人間と共存しているようです。

猫は4千年ほど前にエジプトで飼われるようになり、たいへん崇められたというのが定説みたいですが、今回DNA分析と考古学的資料を総合して検討した結果、それとは異なる図が見えてきました。1万年近く前から人間と猫が共同生活していたらしいということがわかったのだそうです。またイエネコの起源がリビアヤマネコだったらしいという証拠も得られました。ご興味のある方は読んでみてくださいね。

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2009年5月27日 (水)

戦争体験とPTSD&日本語が亡びる?-日経サイエンス2009年07号

日経サイエンス2009年07号に翻訳協力させていただいた記事「戦争が生んだPTSDという社会現象」という記事が掲載されています。イラク戦争などの戦闘体験者の多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されているけれど、不必要に診断されすぎているのではないかと疑問を呈する人がでてきています。過剰診断のせいで、ほんとうのPTSD患者は適切な治療が受けられず、逆に戦闘の記憶に対するごくふつうの反応が異常と診断されてしまうために、実際には患者ではない復員兵の市民生活への自然な復帰がさまたげられている可能性があるという内容です。戦闘後のPTSDには、社会がつくった病気という側面もあるかもしれないという深い洞察がなされています。

また今月号には茂木健一郎さんと作家の水村美苗さんの対談「日本語で考える科学は亡びるか」も載っていて、こちらもとても考えさせられる内容です。インターネットによって英語という言葉が世界を征服しつつあるいま、話し言葉や伝達のための日本語は残るけれども、思考をはぐくむ言葉としての日本語は生き残れないのではないかと木村さんは著書「日本語が滅びるとき」で論じていらっしゃるそうです。対談では、明治維新以後、日本に急速に西洋文化が入ってきたときの翻訳の役割などについても書かれていて、たいへん興味深く読ませていただきました。

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2009年4月 7日 (火)

光るキャンディ

Dsc01469夫が外国の会社からもらったというバイオキャンディ。なめると光るのです。

正確にどのような物質が含まれているのかはわかりませんが、蛍光色素にどうやら関係があるらしいです。

真っ暗なところでなめてみると、ほんとうにキャンディも舌も青く光ります。

Dsc014741 真ん中で青く見えているのが、キャンディです。

味は、食べた娘いわく「ふつう」だそうです。

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2009年2月27日 (金)

「種の起源」発売から150年-進化する進化論

51plvqjraql__sl160_aa115__2  ダーウィンの名著「種の起源」が出版されて150年ということで、日経サイエンス2009年04号は「進化する進化論」特集です。「主要記事の11編すべてが進化論に関係しており、生物学における進化論研究の歩みのほか、人類学や医学、心理学、産業、さらには社会に与えたインパクトについて紹介」(本誌記事より抜粋)されています。

本誌によれば、「種の起源」は初版1250部ながら、発売20日足らずで3000部増刷されたそうです。出版に関係していない方にはぴんとこないかもしれませんが(新聞広告なんかでは、ベストセラーは100万部突破とか書いてあるので)、これはすごいことです。150年も前の、一般の人が手軽に本を買えない時代ですよ! どれだけインパクトが強い本だったかがわかりますね。

わたしが翻訳協力させていただいたのは「実社会に生きる進化生物学」という記事で、進化の研究から生まれたさまざまな知識や技術が、多くの分野で生かされているという話です。たとえば、DNAには突然変異が長い間蓄積されるので、それを犯罪捜査に利用する、病原体の進化を研究することで、感染症予防に役立てる、あるいは進化のメカニズムを、コンピュータ解析に利用するなど、思いもかけない応用があるのですね。

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2009年1月30日 (金)

インフルエンザの万能ワクチン

1月29日のYomiuri Onlineに「インフルエンザ、万能ワクチン開発」という記事がありました。

記事を一部引用させていただくと、「通常のワクチンは、ウイルス表面をとげのように覆うたんぱく質をもとに作る。・・・・だが、インフルエンザは、とげの形が異なる複数のウイルスが流行することが多いうえに、頻繁にとげの形が変異するため、毎年のようにワクチンを作り直す必要があった」のだそうですが、発表されたワクチンは「表面に比べて変異しにくいウイルス内部のたんぱく質を人工合成。それに特殊な脂質膜をくっつけて」つくったものだそうで、インフルエンザの型が変わっても有効だそうです。

まだ実験段階だそうですが、脅威とされている鳥インフルエンザにも効くそうですから、うまくいくといいですね。ただ、最近のニュースによれば、非常によく効くインフルエンザ治療薬のタミフルに耐性をもつインフルエンザがはやっているとのこと。インフルエンザってなんてずるがしこいウイルスなんでしょう。なので、たとえ新型のワクチンをつくっても、またインフルエンザウイルスが別の手を考え出して巧みに変異し、イタチごっこはつづくのではないだろうかと懸念されますが、どうなんでしょうか。

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2008年11月22日 (土)

インフルエンザ

昨日、娘ふたりといっしょにインフルエンザの予防接種に行ってきました。先生がおひとりでやっている近所のクリニックに行ったのですが、夕方の時間だったせいか、混んでいて外で待っている人もたくさんいました(ほぼ全員予防接種)。娘が学校の友達から聞いてきた情報によりますと、今年のはあまり痛くないということでした。たしかに例年より痛くなかったみたいですが、先生によると同じだとのこと。

学校からのお便りや、テレビのニュースなどでも、鳥インフルエンザ由来の新型インフルエンザの脅威がさかんに伝えられています。それが現実化したらどういうことになるのか、想像もつきません。

511632 先日発売された別冊日経サイエンス「感染症の脅威--パンデミックへの備えは万全か」はインフルエンザを中心とした、感染症特集です。記事によれば、日本では、もしも新型インフルエンザが流行したら、ただちにそのインフルエンザのワクチンをつくり、希望するすべての国民に接取することになっているそうです。でも、全国民分ができるのに1年半はかかると知って、ちょっと怖くなりました。

わたしは、この別冊では、「感染症を抑え込め 大規模予測モデルの実力」と「ロタウイルスから子どもを守れ」という2本の記事で翻訳協力しています。先月東京都からある一日の家族の足取り調査のアンケートがきました。「大規模予測モデル」のように、感染症の予防にも使える調査だと書いてありました。わたしはその記事を訳した本人ですから、正確に記すことが大切だと知っていましたが、それでも内心「めんどうだなあ」と思っていたので、どれくらい正確な調査結果が返ったのだろうかと考えてしまいました。せっかくお金も人手もかけて大々的に調査をしているのですから、その調査結果がうまく生かされるといいなと思います。

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2008年10月28日 (火)

盗聴&ネットプライバシー

立ち聞きする、とか盗み聞きすることを英語でeavesdropと言いますが、言葉の由来を知っていますか? わたしは翻訳者のくせに、eavesdropが盗聴するという意味の単語だとは知りながら、由来は知りませんでした。日経サイエンス12月号の記事「諜報活動が変わる」に翻訳協力して、初めてそういうことだったのか、と納得したしだいです。

eavesは「軒(のき)」、dropは「雫」、だからeavesdropは「軒下にぽとぽと落ちる雫」という意味です。つまり、応接室とかで重要な話し合いが行われていると、誰かが軒下にこっそり忍び込んで盗み聞きをする、というイメージなのですね。

盗聴は軒下からやがて電話盗聴へ発展し、さらにはネット盗聴へ。「エネミー・オブ・アメリカ」や「ボーン」シリーズなどの映画を見ると、どんな盗聴も可能のように思えます。でも、じつは盗聴の許可をとるには非常に難しい手続きが必要だし、どの盗聴が合法でどれが非合法かというのもとても複雑らしいです。今回の記事はそういう話や、盗聴のやり方や歴史など、「へえっ」という話が盛りだくさんでした。

12月号は「ネットが蝕むプライバシー」特集号です。ITとテロ、SNSの話、匿名性、遺伝情報、生体認証、ICタグ、等々、身近な問題がいっぱいでとても面白いです。さらに、巻頭にノーベル賞特集も! 茂木健一郎さんと木村忠正さんの対談「日本のネット文化を変えるには」は、日本人と外国人のネットに対する考え方の違いがわかっていろいろ考えさせられました。

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2008年10月 9日 (木)

ノーベル賞&容疑者Xの献身

shine今年のノーベル物理学賞は南部氏、小林氏、益川氏が三人同時に受賞、さらに化学賞を下村氏が!!! すばらしいですねえ。物理の研究の内容は昨日の7時のニュースで図解入りで説明してもらってようやく概要がわかり、あらためてすごいなあと思いました。ビッグバンにも通じる理論なんですね。化学賞のほうは、科学関連のものを翻訳していると蛍光標識はよく出てくるので、こちらは自分にはなじみがありました。とにかく、こんなすごい研究をしている日本人がいるということがとても誇らしいです。

探偵ガリレオこと、天才物理学者の湯川教授も、作品の中でノーベル賞もらったらおもしろいのにな(ちょっと無理やりのような苦しいつなぎ方・・・)。

映画「容疑者Xの献身」、見てきました。わたしは原作をしっかり読んで、しかも原作にとても感動したので、原作を知らずに映画だけを見たときとではずいぶん感想が異なると思います。でも、涙腺弱いんで、しっかり泣かせていただきました。

小説のようにきめ細やかにXの心情を描き切るには2時間ではきびしいかもなあと思います。なので、少々点が辛くなってしまいますね、やっぱり。それと、最初のころに謎のヒントが映されているので、それがもったいなかったなと思いました。でも、あれがないとわかりにくいのかもしれないし、なかなか難しいところですね。

とはいえ、映画は原作の雰囲気がとてもよく出ていて、俳優さんたちもみなさんとてもよかったです。堤真一さんはあんなにかっこいい人なのに、終始しょぼくれた演技ですばらしかったです。隣の家のお嬢さん役の金澤美穂さんがとくによかったなあ。とても可憐で、彼女がいなかったらこのストーリー自体がもっと陳腐な感じになってしまったのではないかと思います。ガリレオの福山雅治さんは、容疑者Xに劣等感を抱かせるに十分なかっこよさで、さすがだなと思いました。小説のほうでは湯川教授がXをじわじわ追い詰めていく感じで、湯川せんせがにくたらしく思えましたが、福山ガリレオはそんな感じはなくて最後まですてきでした。KOH+のラストの曲(福山さんの作詞作曲)はもとても映画に合っていてしみじみ感動的でした。

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